SNSや健康相談の現場で頻繁に見られるのが、「平熱なのに手首や膝、腰の関節だけが痛くてたまらない」という訴えです。発熱を伴わない関節痛には、主に以下の3つの要因が関わっています。
第1に、免疫反応の初期段階におけるタイムラグです。侵入したウイルスの量が比較的少ない場合や、初期の粘膜免疫が迅速に反応している段階では、体温を上げるほどの強い全身反応に至る前に、局所で放出されたプロスタグランジンによって関節痛や倦怠感だけが先行して自覚されることがあります。
第2に、個人の体温調節機能や年齢による差異です。高齢者や基礎代謝が低下している体質の場合、生体が発熱を起こすエネルギー反応が弱く、37℃前後の平熱域のままでも内部では強い免疫戦闘と炎症物質の産生が進行している事例が臨床上珍しくありません。
第3に、寒暖差疲労や自律神経の乱れによる血流不全が風邪症状と重複しているケースです。急激な気温低下で交感神経が緊張すると末梢血管が収縮し、筋肉や関節組織が低酸素状態に陥ります。そこに風邪の初期炎症が重なることで、体温上昇がなくても強い痛みを感じてしまうのです。