夏の休暇シーズンに多くの人が直面するのが、有名避暑地における「過密のジレンマ」です。観光庁の動態調査や交通渋滞統計を見ても、軽井沢のプリンス通りや箱根の国道1号線周辺は、朝8時の段階で交通容量をオーバーし、平時の3倍以上の移動時間を要することが常態化しています。混雑したカフェのテラス席では、周囲の熱気とアスファルトの照り返しが加わり、本来得られるはずの森林浴効果や体感温度の低下が相殺されてしまいます。
一方で、知る人ぞ知る穴場エリアが圧倒的な快適さを保ち続けている理由は、標高差による気温逓減率(100m上昇につき約0.6℃低下)と、大型商業施設が存在しないことによる人流の分散にあります。例えば、標高1,300mを超える高地や日光の奥地、あるいは地下深くの冷気溜まりは、都心部が38℃の酷暑にあっても日中20℃台前半から10℃台前半を保ちます。大規模な商業開発がされていない地域ほど自然の保冷・循環機能が生きており、本来の「静寂な避暑」を享受できるのです。