保護者が「児童養護施設に入れたい」と考えた際、最初に理解しておくべき根本的な原則は、児童福祉法に基づく「措置入所」という行政処分を経なければならない点です。認可保育園や民間の全寮制学校とは異なり、保護者が施設長と直接契約書を交わして子どもを預ける仕組みは日本の法制度上存在しません。
児童福祉法第27条に基づき、都道府県知事や政令指定都市の児童相談所長が「家庭での養育が著しく困難であり、施設において保護・養育することが子どもの最善の利益になる」と判断した場合にのみ、措置が決定されます。
児童養護施設へ入所となる決定的な理由には、主に以下のようなケースが挙げられます。
- 保護者の病気・療養:重度の身体疾患による長期入院、精神疾患(うつ病、統合失調症など)の悪化により、日常生活の世話や監護が物理的に不可能な状態。
- 深刻な養育困難・子育ての限界:保護者自身の激しい疲弊、発達特性を持つ子どもへの対応困難、親族等からの支援が完全に断たれた孤立無援の環境。
- 不適切な養育(虐待・ネグレクト):身体的虐待、心理的虐待、育児放棄、食事を与えない・医療を受けさせないといった生命の危険が伴う事案。
- 保護者の不在・失踪・拘禁:単身保護者の急死、失踪、あるいは刑事施設への収容などにより、身元を引き取る親族が存在しない場合。
- 著しい経済的困窮:住居喪失や破産等に伴い、子どもの最低限の生活環境や就学環境を維持できない緊急事態。
対象年齢については、「児童養護施設は何歳から何歳まで入れるのか」という疑問が多く寄せられます。原則的な入所対象は満2歳から18歳未満の児童です。0歳から2歳未満の乳幼児については原則として「乳児院」が受け入れ先となりますが、兄弟姉妹が同時に保護される場合など、心理的安定を考慮して柔軟に調整される事例もあります。
さらに児童養護施設の2026年最新制度においては、改正児童福祉法に基づき「18歳を迎えたら一律退所」という従来の機械的な年齢制限が完全に撤廃されています。大学・専門学校等への就学継続や就労定着に向け、22歳到達年度末やそれ以降も自立支援計画に基づいて施設利用や伴走型支援を継続できる枠組みが本格運用されています。