変奏曲の真髄を体験できる、クラシック音楽史上外せない不朽の名作を厳選しました。
1. モーツァルト:『きらきら星変奏曲』K.265
正式名称は『フランスの歌曲「ああ、ママに言うわ」による12の変奏曲』。当時パリで流行していた俗謡を主題に据え、全12の変奏が繰り広げられます。右手による細やかな16分音符のパッセージ、左手の急速なアルペジオ、哀切な短調変奏、テンポを落としたアダージョなど、変奏曲の手本とも言える明快な構成美が凝縮されています。
2. J.S.バッハ:『ゴールドベルク変奏曲』BWV988
鍵盤音楽の最高峰に君臨するバロック音楽の金字塔。静謐な「アリア」に始まり、その低音部に基づいて構築された30の変奏を経て、最後に入り口と同じアリアへと回帰します。3変奏ごとに同度から9度までの「カノン(厳格な模倣技法)」が規則正しく配置されるなど、数学的かつ神秘的な構造設計は圧巻の一言です。
3. ラフマニノフ:『パガニーニの主題による狂詩曲』Op.43
超絶技巧ヴァイオリニスト・パガニーニの有名な旋律(『24の奇想曲』第24番)をもとに、ピアノと管弦楽のために書かれた全24変奏の協奏的狂詩曲。特に「第18変奏」は、原曲のアップテンポな旋律を上下反転(反行形)させて極上の甘美なロマンスへと昇華させた映画音楽のような名旋律として世界中で愛されています。
4. エルガー:『エニグマ変奏曲(謎の変奏曲)』Op.36
オーケストラ変奏曲の代表格。エルガー自身の創作主題に続き、妻や友人たちの性格・エピソードを描写した14の変奏が連なります。親友への感謝を描いた重厚な第9変奏「ニムロッド」の美しさは格別であり、「スコアには明記されていない、隠された別の大きな主題が存在する」というエルガー自身の言葉が、今なお音楽ファンの知的好奇心を刺激し続けています。