清流で育った山女魚に対して「水が綺麗だから刺身で食べられるのではないか」と考えるのは、生命に関わる重大な誤解です。天然の山女魚を生食することは極めて危険であり、絶対に避けるべき行為です。
天然のサケ・マス類には、アニサキスやサナダムシ(日本海裂頭条虫)、重篤な肝障害を引き起こす恐れのある顎口虫(ガッコウチュウ)などの寄生虫が宿っているリスクが常に存在します。清流であっても、野生の動物や水生小動物を介した食物連鎖のなかで寄生虫の中間宿主となるため、水の清らかさと寄生虫の有無は一切関係がありません。マイナス20度以下で24時間以上冷凍処理を行わない限り、天然魚の生食は厳禁です。
一方で、市場や高級料亭で提供される「山女魚の刺身」は、完全管理された環境で育った養殖魚です。人工飼料のみを与え、寄生虫の宿主が侵入しない清冽な地下水や湧水で育成された養殖ヤマメは、寄生虫感染のリスクがゼロにコントロールされています。淡白でありながら芳醇な甘みと、コリコリとした上品な歯ごたえを持つ養殖山女魚の刺身は、安全が担保された養殖技術の結晶といえます。養殖ヤマメの出荷相場は1匹あたり300円〜600円程度、ブランド化された大型個体(サクラマス規格)ではキロあたり3,000円〜5,000円前後で取引されています。