現場での調査を進めると、巨体が突如としてシーカヤックの前に現れたり、遊歩道の至近距離を横切ったりする事案が多発していた。主食であるカラフトマスやサケの河川遡上数の偏り、さらにはミズナラのドングリの凶作など、複合的な要因が彼らの行動域を海岸線や人里近くへと押し出している。
北の大地に生息する大型哺乳類、エゾヒグマ。従来は人を避け、奥深い山林に身を潜める傾向が強かった。しかし、一部の個体において人に対する警戒心が著しく薄れる「新世代」の台頭が指摘されている。人への慣れ(ハビチュエーション)が進むことで、人間の存在を脅威と見なさない個体が増加しているのだ。