2018年7月2日、ロストフ・アリーナで行われた決勝トーナメント1回戦・ベルギー戦は、日本サッカー史における最高到達点であり、最大の悲劇となった一戦です。
後半立ち上がり、柴崎岳のスルーパスから原口元気が右足を振り抜いて先制すると、わずか4分後には乾貴士が無回転の鮮烈なミドルシュートを突き刺し、世界ランク3位の強豪相手に2-0のリードを奪取します。しかし、ベルギーが誇るフェライニとシャドリの投入を機にパワープレーを受け、立て続けに失点し2-2の同点に追いつかれました。
そして迎えた後半アディショナルタイム(94分)、運命の「ロストフの14秒」が訪れます。
本田圭佑のコーナーキックをGKティボー・クルトワがキャッチした瞬間から、ベルギーの電光石火のカウンターが発動しました。クルトワの手投げからケヴィン・デ・ブライネが中盤を60メートル疾走し、右サイドのトマ・ムニエへ展開。ムニエのグラウンダーのクロスをロメル・ルカクが絶妙にスルーし、ファーサイドへ走り込んだナセル・シャドリが決勝点を押し込みました。
後に制作されたドキュメンタリー番組や手記において、昌子源は「追いつけなかった悔しさでピッチを叩くことしかできなかった」と述懐し、長谷部誠や吉田麻也は「ファウルで止める判断ができなかった甘さ」を痛切に振り返っています。コーナーキックで勝ち越しを狙いに行ったアグレッシブさと、リスクマネジメントの狭間で生じたわずか14秒の隙が、世界の頂点との絶対的な壁を浮き彫りにしました。