日本のマーケットにおける激変を語る上で、クリスピー・クリーム・ドーナツの奇跡的なV字回復劇を外すことはできない。2006年の日本上陸時に巻き起こった大行列から一転、2010年代半ばには大量閉店に追い込まれるなど、過酷な冬の時代を経験した同社。そこからの復活劇は、製菓・外食産業における屈指のケーススタディとして語り継がれている。
彼らが下した決断は、出店戦略の根本的な見直しと日本人の舌に合わせた商品改良だった。巨大店舗による大量出店から、駅ナカや商業施設を中心としたコンパクトな店舗展開へとシフト。さらに看板商品「オリジナル・グレーズド」の製造工程を見せる製造ラインを一部旗艦店に絞って象徴化しつつ、甘さを繊細にコントロールした日本限定メニューを開発した。ブームの熱狂に頼ることをやめ、地域に根差した日常の選択肢として再構築を図った同社の執念が、再び多くのファンを呼び戻している。