ネット上の掲示板や誤ったサバイバル知識で散見される俗説に、「熱湯で十分に茹でこぼせば毒は抜ける」「油で天ぷらにすれば熱分解される」というものがあります。断言しますが、これは死に直結する完全なデマです。
トリカブトの主成分であるアコニチン系アルカロイドは熱に対してある程度の加水分解を起こしますが、家庭用調理器具の100度〜180度程度の加熱時間では、毒性が辛うじて弱まる程度であり、致死性を無効化することは不可能です。事実、トリカブトを天ぷらやおひたし、味噌汁に入れて煮込んだ料理を食べたことによる死亡事例が日本全国で累計数十件以上確認されています。
さらに、「虫が食っている葉なら人間も食べられる」「塩漬け・アク抜きをすれば安全」といった伝承も医学的根拠はゼロです。昆虫と哺乳類では神経伝達物質の受容体構造が全く異なり、昆虫が平然と食害する有毒植物など自然界には無数に存在します。先人の迷信を鵜呑みにすることは、自ら毒杯を煽る行為と同義です。