トロッコ電車に乗車する際、多くの旅行者が直面する分かれ道が「どの客車(座席)を予約すべきか」という問題です。黒部峡谷鉄道には、大きく分けて3種類の客車が連結されています。
1つ目は、窓ガラスがなく横から峡谷の風をダイレクトに浴びるオープンタイプの「普通客車(ボギー客車)」。2つ目は、固定クロスシートに窓ガラスが設置された「特別客車」。そして3つ目は、進行方向に合わせて座席転換が可能で、ゆったりとしたシートピッチと大型パノラマ窓を兼ね備えた「リラックス客車」です。
乗車時間が片道1時間以上に及ぶ山岳鉄道において、普通客車とリラックス客車の違いは単なる車室の差にとどまらず、体感疲労や寒暖差への耐性に直結します。それぞれのスペックとコスト、編集部による実用評価を以下の比較表にまとめました。
現場取材で乗客から多数聞かれた声が、「往路と復路で客車タイプを変える」という選択肢の上手さです。行きはオープンな普通客車で自然の迫力や轟音に浸り、帰りは冷えた体をリラックス客車の温かい密閉空間で休めるという使い分けは、多くのリピーターが実践しているスマートな乗車法です。