「なぜ発表された区間エントリーに大本命のエースが入っていないのか」という疑問は、駅伝ファンならずとも抱く自然な感情です。その背景には、現行の箱根駅伝 当日メンバー変更ルールを巧みに突いた戦術が存在します。
大会規定において、メンバー変更は「正競技者と補員の交代」のみが認められており、「区間登録された選手同士の区間スライド」は厳格に禁止されています。つまり、一度3区にエントリーされた選手を2区へ移動させることはできません。このルール下で監督陣が用いるのが、俗に言う箱根駅伝 補員エントリー当て馬戦略です。
主力級のランナーをあえて補員(リザーブ)に留めておき、本来走らせる予定のない区間に別の選手(当て馬)をダミーとして暫定登録します。そしてレース当日の朝6時50分に補員からエースを本命区間へ投入することで、他大学に対策を練らせる隙を与えません。故障リスクの管理とライバル校への撹乱を同時に成立させる、現代駅伝における必須のマネジメント手法です。