過酷な家庭環境を生き延びたとしても、毒母育ちが大人へ及ぼす影響は長期間にわたって続きます。機能不全家族の中で育ち、大人になってもトラウマや対人関係の偏りを抱える人々はアダルトチルドレン(AC)と呼ばれ、特有の生きづらさに直面します。
最も深刻なのは、「根拠のない自己否定感」と「過剰な承認欲求」の板挟みです。「ありのままの自分」を受け入れられた経験が乏しいため、「人の役に立たなければ生きている価値がない」「嫌われないように他人に尽くさなければならない」という強迫観念に駆られます。職場では理不尽な要求を断れず、過労に陥るケースも珍しくありません。
恋愛や結婚においても、無意識に親と同じような支配的・モラハラ気質のパートナーを選んでしまう「反復強迫」に陥ることがあります。また、自分が親になった際に「自分も同じように子どもを傷つけてしまうのではないか」という強い恐怖にさいなまれるなど、世代間連鎖への怯えも大きな心理的負荷となります。