株式会社トレジャーのアイデンティティを理解する上で避けて通れないのが、創業時の精神と組織文化です。同社は1992年6月19日、メガドライブ版『悪魔城ドラキュラ』や『魂斗羅スピリッツ』の開発に携わっていた当時コナミのエースプログラマーやデザイナーたちがスピンアウトする形で設立されました。
創業当時の開発者インタビューにおいて、前川代表は「組織が巨大化するにつれて企画の通過に膨大な承認ステップが必要になり、尖ったアイデアが丸められてしまう危機感があった」と述懐しています。大企業の安定した待遇を捨て、クリエイター主導で徹底的に骨太なゲームを作るために立ち上げられたこの背景こそが、トレジャーの全作品に通底する爆発的な運動性と強烈な個性の源泉です。
本社を東京都内に構え、あえて従業員数を数十名規模のコンパクトなサイズに抑え続ける経営戦略は、日本のゲームデベロッパーとしても極めて異色の存在です。大企業病とは無縁のフラットなディスカッションと、極端なまでに最適化されたアセンブラライクなプログラミング精神が、30年以上の歳月を経てもなお組織のDNAとして純粋に受け継がれています。