結論から言うと、「わをもってとうとしとなす」と「わをもってたっとしとなす」はどちらを読んでも間違いではありません。国語辞典や漢和辞典、教科書の採否を見ても両方の表記が認められています。
この二重基準が生じた理由は、日本語の音韻変化の歴史にあります。古文における形容詞「貴し(たふとし)」は、平安時代以降に母音の連続変化(ウ音便化)によって「とうとし(to:tosi)」と発音されるようになりました。一方で、日常のくだけた口頭語として促音化した「たっとし」という音変化も定着した経緯があります。
現代の公教育や国語の教科書では、歴史的仮名遣いの変化に忠実な「とうとし」を標準として採用するケースが目立ちます。しかし、慣用表現として「たっとし」も広く定着しており、どちらを用いても教養上の誤りとはみなされません。