通常、ネットの悪ノリから生まれたミームは数ヶ月も経てば急速に消費され、忘れ去られていくのが運命だ。しかし、五条勝という男の物語はそこで終わらなかった。当初は嘲笑や悪ふざけの対象だったはずの彼に対し、コミュニティはいつしか「絶対的な余裕」「崩れない笑み」「実はスペックが高い実力派」という独自のキャラクター性を読み解き始めた。
ニヤリと笑う彼のビジュアルは「どんな逆境にも動じない最強の男」のアイコンとなり、ファンアートやパロディ動画が絶え間なく投稿された。皮肉なことに、イタズラで担ぎ上げられた男は、15年を超える歳月を経て「真に愛されるカルト的人気キャラクター」へと変貌を遂げたのである。ネット空間が生み出した最大のパラドックスがここにある。