懲役刑の受刑者以上に特殊な状況下で行われるのが、死刑確定囚との獄中結婚です。死刑囚は「刑を執行される立場」であり、刑務所ではなく拘置所の独居房に収容され続けます。確定後は外部交通(面会や文通)の制限が一般受刑者よりもさらに厳格化され、原則として親族や弁護士以外との接触はほぼ完全に遮断されます。
そのため、死刑囚の精神的支えになりたい支援者や、再審請求活動を主導したい熱心な活動家が、面会権を維持・獲得する目的で婚姻や養子縁組を結ぶケースが見られます。法的な配偶者となることで、以下のような重要な権限を行使できるようになります。
- 外部交通権の維持:厳しく制限された面会や手紙のやり取りを継続する正当な権利。
- 再審請求の申立権:配偶者は刑事訴訟法上、独自に再審の請求を行う法的資格を持つ。
- 遺体・遺品の引き取り:死刑執行後、拘置所から遺体や遺書、身の回り品を引き取る権利。
しかし、死刑囚の配偶者となることは、「ある日突然、何の前触れもなく最期の別れが訪れる」という過酷な現実を背負い続けることを意味します。日本の死刑執行は当日の朝に本人へ告知され、配偶者であっても事前に知らされることはありません。朝の電話1本で執行の事実を告げられ、遺体の引き取りに向かう精神的負荷は計り知れないものがあります。