楽譜を開くと目にする「6/8」という記号。音楽理論において、これは単なる「1小節に8分音符が6個入る拍子」にとどまらない。その本質は、3拍子系と2拍子系が奇跡的な融合を果たした複合拍子にある。
通常の4拍子(4/4)が「タ・タ・タ・タ」と等間隔の歩行のようなビートを生み出すのに対し、8分の6拍子は「タ・チ・チ・タ・チ・チ」という3連の大きなうねりをふたつ並べた構造を持つ。拍の重心は1拍目と4拍目の8分音符に落ちる。つまり、大きなフレームで見れば「2拍子」でありながら、その内部では「3拍子」の円運動が高速で旋回しているのだ。この重層的なノリこそが、聴き手の身体を自然と横揺れさせる独特のグルーヴを紡ぎ出す。