意識障害と回復のテーマを語る上で、伝説的な精神科医オリバー・サックスの業績を外すことはできない。彼の著書であり映画化もされた『レナードの朝』は、数十年間にわたりパーキンソン病様症状と重度の意識障害で固直していた患者たちが、新薬L-ドパの投与によって突如として「目を覚まし」、人間性を回復した実話を描いている。
サックス医師が突きつけたのは、「閉じ込められた意識」の存在だった。体が動かず、反応がないからといって、内部の精神世界まで完全に消滅しているわけではないという洞察である。
『レナードの朝』が描いたドラマは現代医学においても教訓であり続けている。目が開いたというわずかな身体の変化の中に、長年閉じ込められていた患者の魂や意識のシグナルが潜んでいるのではないかという視点は、今日の脳神経科学における重要な研究動機となっている。