初夏の陽射しが差し込む通学路は、一瞬にして阿鼻叫喚の地獄と化した。私立小学校のスクールバスを待っていた児童や保護者の列へ、両手に柳刃包丁を持った男が無言で背後から襲いかかった。わずか数十秒の間に小学生女児と保護者の外務省職員が命を奪われ、十数名が重軽傷を負う事態となったこの川崎市登戸通り魔事件は、瞬時に日本中を震撼させた。
速報がYahoo!ニュースなどの主要メディアを埋め尽くし、現場に急行した神奈川県警察の鑑識班と捜査員が目の当たりにしたのは、男が自身の首を切りつけて絶命した現場の異様な静寂だった。学校法人カリタス学園に通う幼い命が無差別に標的とされた不条理に対し、日本中から怒りと哀悼の声が押し寄せ、現場の献花台には花束と祈りが絶え間なく手向けられた。