おにぎりという日本人の日常食を、極上のご馳走へと昇華させた立役者こそがおにぎり浅草宿六です。同店が『ミシュランガイド東京』のビブグルマンに選出された際、国内外のフードカルチャー界には大きな衝撃が走りました。寿司店のような白木のカウンターが広がる店内で、職人が目の前で一つひとつ丁寧に握りたてを提供するスタイルは、まさに日本の食文化の粋を体現しています。
この比類なき味わいを支えているのが、三代目店主 三浦洋介氏が徹底してこだわり抜く3つの要素です。
第1に「米」の選定と炊飯技術です。全国の特Aランク米から時期ごとに最良の状態のコシヒカリを厳選し、大釜で米粒の輪郭を崩さないよう絶妙な水分量で炊き上げます。第2に「海苔」の存在感です。香りと歯切れが際立つ最高品質の江戸前海苔を贅沢に使用し、一口かじった瞬間に鼻腔を抜ける磯の香りを生み出しています。そして第3に、最も決定的なのが「握り方」の哲学です。
三浦氏の手技は、米をぎゅっと押し固めるのではなく、「最小限の手数(わずか3手〜4手)で空気を含ませながら形を整える」という職人技に基づいています。口に運んだ瞬間にほろりとほどけ、米粒一粒一粒の甘みと具材の塩味が舌の上で一体化する食感は、家庭や量販店のおにぎりでは決して再現できない異次元の体験といえます。