『あいのり』を語る上で欠かせないのが、日本への帰国を賭けた「日本行きのチケット」を差し出す告白の儀式だ。
夕暮れの崖の上、崩れかけた遺跡の前、あるいは激しい雨が突く路地裏。思いを寄せる相手に自らの運命を委ね、キスをして共に帰るか、一人失意のうちにワゴンを去るか。あの極限状態の選択には、台本など存在し得ない本物の涙があった。
告白が成功してカップルとなった二人が、現地のスタッフに見送られながらワゴンを降りる場面の多幸感。一方で、振られた側が一人スーツケースを引いて空港へと向かう背中の哀愁。視聴者はそこに、自分自身の甘酸っぱい青春や叶わなかった恋の記憶を重ね合わせていたのだ。