華やかなトレンドドラマの裏側で、テレビメディアの表現限界に挑む重厚な人間劇も次々と生み出された。その中心にいたのが、脚本家・野島伸司である。彼が手がけた作品群は、それまでの民放ドラマが避けて通っていた社会的タブーや人間の暗部、いじめ、障害、家族の歪みといった重厚なテーマに真っ正面から切り込んだ。
『高校教師』や『人間・失格〜たとえば僕が死んだら』など、TBSテレビを中心に放送された野島作品は、視聴者に強烈なトラウマと問いを突きつけた。センセーショナルな題材でありながら、底底に流れるのは孤独な魂の救済と深い人間愛だ。単なる娯楽番組にとどまらず、社会的な議論を巻き起こすレベルへとテレビ劇を高めた足跡は大きい。