言葉の持つ暴力性は、時に当事者たちの手によって芸術やスタイルへと反転する。蔑称として使われた山岳住民の呼称は、1930年代から40年代にかけて、ラジオ放送やレコード産業の普及とともに変化の兆しを見せ始めた。
グランド・オール・オプリに代表されるカントリー・ミュージックの番組が全米に放映されると、山岳地帯の音楽と衣装は一気に注目を集める。そこには、逞しく歌い、楽器を奏でる女性たちの姿があった。都会の繊細なドレスとは異なる、健康的で動きやすいスタイル。「ヒルベティ」は、都市部の画一的な女性像に対するアンチテーゼとして機能し始めたのだ。