サノマのボトルを手にしたとき、誰もが最初に興味を惹かれるのがそのネーミング形式だ。「1-24 鈴虫」や「2-24 蒸気」のように、アラビア数字と和名が組み合わされている。
最初の数字は「香りの系統(フォーミュラ)」を表し、ハイフン後の数字は「最終決定された試作番号や展開年」を意味している。渡辺氏によれば、香りは言語化されたイメージから作られるのではなく、純粋な調香実験のプロセスから生まれるという。和名は、完成した香りが想起させる情景や文化的な文脈を後から添えたものだ。
このアプローチによって、使い手は過度な先入観にとらわれず、自分自身の記憶や感覚で香りを解釈する自由を与えられる。ミニマルなガラス瓶に漆黒のキャップを配したデザインもまた、無駄を削ぎ落とした日本の美学を体現している。