時代が下るにつれ、ファベルゼ作品の美術史的価値は上昇の一途をたどった。もはや単なる旧時代の遺物ではない。クラフトマンシップの到達点としての再評価である。
2002年、クリスティーズのオークションに出品された「冬のエッグ(Winter Egg)」は約960万ドル(当時約12億円)で落札された。さらに2007年には、 Rothschild家が所有していた「ロスチャイルド・エッグ」が約890万ポンド(約20億円)という巨額で競り落とされた。
蚤の市で見つかった3300万ドルの「第3のインペリアル・エッグ」
2014年、事実は小説よりも奇なりを地で行く事件が起きた。アメリカの中西部に住む金属スクラップ業者が、蚤の市で1万4000ドルで買った時計入りの金の卵。溶かして金として売るつもりだったが、刻印された時計のブランド名からネット検索を重ねたところ、それが1887年の復活祭に贈られた行方不明の「第3のインペリアル・エッグ」であることが判明したのだ。
専門家による鑑定の結果、その市場価値は推定3300万ドル(約35億円)。消えた7個のエッグのうち1個が、名もない金属業者のキッチンで保管されていたというニュースは、世界中の宝飾界を震撼させた。