日本にも伝説的な暗記王が存在する。元エンジニアの原口證氏だ。原口氏は10万桁という異次元の暗記を達成し、国内外に大きな衝撃を与えた。公式手続きの兼ね合いでギネス公認とはならなかったものの、彼が編み出した「物語法」は記憶の可能性を提示した金字塔である。
原口氏の手法は、数字の並びを日本語の語呂合わせに変換し、それを長大な物語に仕立て上げるアプローチだ。「3.14159…」を感情豊かなストーリーへ昇華させ、登場人物の喜怒哀楽とともに脳へ深く刻み込む。脳科学的にも、喜怒哀楽などの感情を伴った記憶は扁桃体を介して強力に脳に定着する。無機質な数字をドラマチックな文脈へ置き換える発想こそが、驚異的な記憶力の鍵だった。