当時、旧ジャニーズ事務所所属グループの楽曲は、一部の例外を除いてCD販売を中心とするビジネスモデルを厳格に維持していました。そうした慣例のなかで、なぜV6は解散当日という節目に大規模なストリーミング解禁へと舵を切ったのでしょうか。
関係者への取材報道や当時の音楽専門誌のインタビュー記録を紐解くと、そこには「グループの歩んできた26年間の音楽を散逸させず、未来のリスナーへ遺産として手渡す」というメンバー全員の強い意志が存在していました。解散によってライブパフォーマンスの機会が失われる以上、フィジカルの廃盤リスクや再生機器の減少によって楽曲が風化することを避けたかったという計算が働いています。
さらに大きかったのが、デビュー以来一貫してパートナーシップを結んできたエイベックス(avex trax)との強固な信頼関係です。エイベックス側はユーロビート黎明期からジャパニーズ・ポップス、先鋭的なクラブミュージックまで多彩なサウンドをV6に提供し続けてきました。自社レーベルの貴重な文化的アーカイブとして、ストリーミング市場へ正式投入するための権利処理とデジタルリマスタリングを周到に進めていたことが、全曲一挙配信という前例のないオペレーションを可能にしました。
「自分たちが残した音楽は、ファンの生活のなかで鳴り続けてほしい」というメンバーの願いと、レーベルのデジタルアーカイブ戦略が合致した結果、解散日である2026年11月1日という象徴的な日付でのサブスク解禁が実現しました。