日本の若者文化とバイクの結びつきを語るうえで、漫画や映画をはじめとするポップカルチャーの影響を無視することはできない。1980年代、漫画家・紡木たくが描いた伝説的少女漫画を原作とする映画『ホットロード』は、当時の若者たちの刹那的な生き様と、バイクが持つ危険で美しい魅力を鮮烈に描き出した。
時代が下り、令和の時代に爆発的なヒットを記録した和久井健の漫画『東京卍リベンジャーズ』でも、名車たちが物語のキーアイテムとして描かれ、若い世代に旧車やカスタムバイクのカッコよさを強烈に焼き付けた。
これらの作品群に登場するマシンたちの背景には、常に「自分だけの愛車を組み上げる」という強い自我が存在していた。VT250Fもまた、そうしたサブカルチャーの文脈と深くリンクしながら、単なる移動手段を超えた「青春のシンボル」として語り継がれてきたのである。