杠を語る上で絶対に外せないのが、彼女の監視役(御様御用)を務めた山田浅ェ門仙汰(せんた)との切なくも尊い絆です。真面目で心優しい仙汰は、奔放で妖艶な杠に次第に心惹かれ、単なる監視対象以上の感情を抱くようになります。
二人の関係性が決定的な局面を迎えたのが、天仙の一人である牡丹(ムーダン)との戦いでした。牡丹の放った致死性の花毒から杠を身代わりとなって庇った仙汰は、全身に花が咲き乱れる樹化の術に蝕まれ、死の淵へと追い込まれます。
常に「自分が生き残ること」を最優先にしていた杠ですが、自らを救ってくれた仙汰の最期に際し、彼をそっと抱きしめ、仙汰が心の中で描き続けていた「画家になりたかった夢」に寄り添う優しい嘘を囁きかけました。仙汰が息を引き取った瞬間に杠が零した涙は、彼女が単なる冷酷な死罪人ではなく、深い情愛と痛みを抱えた一人の人間であることを証明しています。