丸と四角を組み合わせたあの特徴的な形は、どのようにして生まれたのか。かつては、円形の墳墓に祭壇としての四角い部分(前方部)が付け足されたという説が主流だった。しかし、最新の視覚認知科学を用いた研究では、別の側面が浮かび上がっている。それは「見られること」を意識した強烈なビジュアルプレゼンテーションだ。
前方後円墳の多くは、主要な街道や河川、あるいは海からよく見える丘陵の端に建設された。古代の旅人が船や徒歩で移動する際、突如として現れる巨大な白いステップ・ピラミッド(当時は葺石で覆われ、太陽光で白く輝いていた)は、圧倒的な威圧感を与えたはずだ。丸と四角の幾何学的なコントラストは、自然界には存在しない「人工的な秩序」を周囲に知らしめるための、ヤマト王権による高度なグラフィックデザインだったと言える。