高級牛肉の代名詞である黒毛和牛。夜のディナータイムなら1人前数千円を下らない上質な部位が、ランチタイムには千円台から二千円台前半という破格の値段で提供される。なぜこれほどの価格差が可能なのか。
秘密は店側の仕入れルートと仕込みの工夫にある。一頭買いを行う店では、サーロインやヒレといった花形部位を夜の看板用に確保する一方、整形時に出る不揃いな切り落としやスジに近い旨味の濃い部分を昼の定食へ回す。職人の包丁が冴え渡るカット技術により、筋っぽさは一切感じさせない。食通たちが目ざとく狙うのは、まさにこうした数量限定の切り落としランチだ。