大ヒット曲『Don't Wanna Know』の裏側に迫ると、単なる心地よいダンスナンバーの枠に収まらない、生々しい感情の渦が見えてくる。陽気なサウンドの裏に隠されているのは、別れた恋人への断ち切れない未練と身を裂くような嫉妬だ。「君が誰かとどこかへ出かけているなんて知りたくもない」。そんなあまりにも人間的な弱さが、歌詞の行間からにじみ出ている。
バンドのフロントマンであるアダム・レヴィーンが見せたボーカル表現は圧巻だ。余計な力みを削ぎ落としたしなやかなファルセットが、胸を締め付ける失恋の切なさを際立たせる。そこへヒップホップ界の最高峰ケンドリック・ラマーによる鋭いラップパートが割り込む。甘美な未練と現実的な冷酷さ。この強烈な対比こそが、世界中のリスナーの心を掴んで離さない最大の秘密なのだ。