軍艦島が放つ圧倒的な存在感は、世界の映像クリエイターをも魅了し続けてきた。代表的な例が、映画『007 スカイフォール』(2012年)だ。悪役シルバが潜伏するデッド・シティのモデルとして、島全体の廃墟景観が細部にわたって分析され、ハリウッドの大型セットへと昇華されたエピソードはあまりにも有名である。
実写映画『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』では、実際に島内でのロケーション撮影が敢行され、ディストピアな世界観を構築する決定的な背景となった。近年ではNetflixの廃墟・歴史建造物ドキュメンタリー番組でも特集が組まれ、世界中のストリーミング視聴者へその異彩を放つ姿が届いている。なぜこれほどまでにスクリーンの監督たちを惹きつけるのか。それは人工物が自然の力によって緩やかに風化していく過程が、他のいかなる場所にもない圧倒的な「リアリティ」を醸し出しているからにほかならない。