11時から14時。この3時間だけが「きしがみ」の営業時間だ。なぜ昼だけなのか。その理由は単純明快である。最高の蕎麦を提供するには、時間的制約が必要なのだ。
蕎麦は打ってから時間が経つと風味が落ちる。朝打った蕎麦をランチタイムに提供し、その日のうちに使い切る。この鮮度管理が、味の安定性を保証する。夜も営業すれば売上は増えるかもしれないが、品質は犠牲になる。店主はそれを選ばなかった。
月曜日と第一・第三火曜日が定休。この休日設定も、職人の体力と集中力を維持するために計算されている。蕎麦打ちは肉体労働だ。連続して働けば、技術の精度は必ず落ちる。適度な休息が、最高の仕事を可能にする。