大手飲食チェーンから新進気鋭のネオ居酒屋までが激しく競合する玉宮において、花串庵が長年にわたりトップランナーとして君臨し続ける背景には、他店の追随を許さない2つの明確な武器があります。それが名物の「おでん」と「串揚げ」です。
まず目を奪われるのが、店内の大鍋でじっくりと煮込まれるおでんです。昆布と削り節の澄んだ旨味が芯まで染み渡った大根や玉子はもちろん、丁寧に下処理された牛すじ、季節ごとの練り物に至るまで、仕込みの手間を一切惜しみません。出汁をしっかりと吸い込みながらも煮崩れさせない絶妙な火加減のコントロールは、まさに職人技の賜物です。
そしてもう一つの主役である串揚げは、きめ細やかな特製パン粉を薄く纏わせ、油切れよくサクッと香ばしく揚げられています。看板メニューには飛騨牛や車海老といった厳選食材が贅沢に並び、ひと口噛むごとに素材本来の甘みとジューシーな肉汁が溢れ出します。特筆すべきは、一部の特選串や宴会コースにおいて「原価率80%」を公言している点です。高級食材を惜しみなく投入しながらも、客単価3,000円〜4,000円台という日常使いの価格帯に収める企業努力こそが、訪れる客に強い満足感を与え、驚異的なリピート率を生み出す最大の理由となっています。