原作者である吾峠呼世晴が緻密に組み上げた物語の中で、風柱の存在は異彩を放つ。鬼を狂わせる特殊な血液「稀血」の持ち主であるという設定は、戦況を左右する重要なキーパーツだ。しかし、その体質ゆえに辿った彼の過去はあまりにも残酷で、哀しみに満ちている。
母を自らの手で倒さなければならなかった絶望。そして弟を守るために自らを悪役に仕立て上げる孤独。吾峠描くキャラクターたちのドラマは、単なる勧善懲悪の枠に収まらない。人間味あふれる弱さと、それを克服しようとする強靭な精神力が同居しているからこそ、読者の胸を強く打つのだ。