「笹子」という地名が日本中に暗い衝撃を与えた最大の出来事は、2012年12月に発生した「笹子トンネル天井板落下事故」だ。旧隧道からほど近い位置にある中央自動車道の上り線トンネル内で、突如として吊り天井板が数百メートルにわたって崩落。走行中の車両が押し潰され、9名もの尊い人命が奪われるという未曾有の大惨事となった。
高度経済成長期に急ピッチで整備された高度インフラが、点検の形骸化と老朽化によって一瞬にして凶器へと変貌した事実は、日本の防犯・インフラ管理に対する安全神話を根底から打ち砕いた。事故後の原因究明では、天井板を吊り下げるアンカーボルトの施工不良や経年劣化が見過ごされていた実態が次々と露呈し、社会に大きなショックを与えた。