接待や祝い事で「失敗したくない」と焦る人が最も見落としがちなのが、日常の無意識な癖です。プロが見ているのは、豪華な料理の手際ではなく、器や道具へのリスペクトに満ちた小粋な所作です。
特に注意したいのが、良かれと思ってやってしまいがちな「手皿」の行為。汁や具材が落ちないよう左手を料理の下に添える所作は、一見丁寧に見えますが、実は和食では「手を汚す不衛生なNG行為」とみなされます。汁気のあるものを口に運ぶ際は、左手を添えるのではなく、小鉢や懐紙を手に持って受けるのが正しい作法です。
箸と器を扱う順番にも明確な黄金ルールが存在します。必ず「器を両手で持ち上げてから、箸を取る」のが鉄則。先に箸を持ち、その箸で器を引き寄せるような「よせ箸」はご法度です。さらに、お椀の蓋を開ける際は、両手で蓋を持ち上げ、蓋の裏についた水滴を椀の中に落としてから裏返して右奥に置く。この静かな動作ひとつで、洗練された品格が漂います。
また、刺身に添えられたわさびを醤油にべったり溶かすのも避けたい行為です。わさびの香りが飛んでしまうだけでなく、醤油皿が濁って見苦しくなります。わさびは刺身の上に少量のせ、醤油を少しだけつけて口に運ぶのが、素材の風味を最大限に引き出すプロの食べ方です。