新宿のマジックバーの醍醐味は、なんと言ってもその距離感の近さにある。大迫力のステージマジックとは一線を画す「クロースアップ・マジック(近距離手品)」の真骨頂がそこにはある。カウンター越し、息が届くほどの距離で繰り広げられるパフォーマンスは、まさに圧巻の一言だ。
マジシャンの指動きを穴があくほど見つめ、不自然な動作がないか警戒していても、現実はあっけなく裏切られる。自分がしっかり握っていたはずのコインが別の物体に変わり、サインしたカードが未開封のペットボトルの中から出てくる。タネを探そうと力んでいた肩の力が抜け、最終的には誰もが「もう降参!」と言わんばかりの笑みを浮かべる。この参加型の没入感こそが、他のナイトスポットにはない圧倒的な強みなのだ。