アスベスト問題は決して「過去の遺物」ではない。昭和から平成初期にかけて建設された地下鉄駅舎の多くが、今まさに建設後40年から50年という大規模改修の周期を迎えているからだ。
特に半蔵門線は、旧営団地下鉄時代に段階的に開業した歴史を持つ。一部の古い駅区間やバックヤード、機械室などでは、過去に「封じ込め工法」や「囲い込み工法」で処理された吹付け材が存在する。これらは通常、触れなければ飛散のリスクは低いとされるが、近年多発する巨大地震による微細な亀裂や、経年劣化による塗膜のはく離が懸念材料として浮上してきた。
2026年に入り、国土交通省が全国の公共交通機関における耐震・防災補強工事のガイドラインを再改定したことで、これまで非公開とされることが多かった地下空間の石綿保有状況に対し、より透明性の高い情報開示を求める声が一気に強まったのだ。