クランクイン直前の控室では、緊迫した時間が流れていた。長年連れ添ったヘアスタイルにハサミが入れられる瞬間、スタッフ一同が固唾をのんで見守る中、本人は至って平静な表情を浮かべていたという。
「バリカンで髪を剃り落としていく最中も、彼は鏡を見つめながらすでに役の感情に入り込んでいました。最後の仕上げが終わると、照れくさそうに笑いながら『これでやっと彼(役名)になれました』と一言。その一瞬で現場の空気が締まり、スタッフ全員のギアが上がったのを覚えています」と現場制作スタッフは熱く語る。その覚悟に、共演するベテラン俳優陣からも称賛の声が上がったという。