植物生理学の観点から見ると、発根のプロセスには「カルス」と呼ばれる未分化な細胞塊の形成が不可欠です。枝の切り口付近の細胞が活性化し、そこから新たな根が分化して生えてきます。しかし、古すぎて木質化した硬い枝ではこの細胞分裂が起こりにくく、逆に生長し始めたばかりの柔らかすぎる新芽は組織が弱く腐敗しやすいという難点があります。
日本原産のガクアジサイや西洋紫陽花(ハイドランジア)など、品種による発根能力の差にも注目したいところです。ガクアジサイは比較的強健ですが、繊細な改良品種の中にはホルモンバランスが敏感なものもあります。切り口にカルスが作られる前に雑菌が侵入すると、オーキシンなどの発根ホルモンが正常に働かず、根を出す前に組織が崩壊してしまうのです。