ブームの火付け役となったのは、一部のインディーズデザイナーたちが仕掛けた私的なリメイク企画だった。滝平二郎の切り絵が持つ「圧倒的な黒の表現力」に目をつけた彼らは、漆黒のボディに劇的なコントラストで浮かび上がる「光るモチモチの木」をプリント。これが深夜のクラブシーンやアートギャラリーのスタッフの間で口コミ的に広まった。
かつて子供心に「怖い」と感じたあの夜の木が、大人になった今、これ以上ないほどクールなグラフィックとして目に飛び込んでくる。この視覚的なギャップが、20代を中心とするZ世代やミレニアル世代の心を激しく揺さぶった。教科書という極めてオフィシャルな媒体に載っていたアートだからこそ、ストリートに落とし込んだ時の反逆性が際立つのだ。