因数分解の攻略に移る前に、まずは用語の定義と基本作法をクリアにしておきます。多項式を整理する際、特定の文字に注目して次数の高い項から低い項へと並べる方法を「降べき(こうべき)の順」と呼びます。例えば $x$ について整理する場合、$x^3 \rightarrow x^2 \rightarrow x \rightarrow \text{定数項}$ という順番で階段を下りるように記述します。
一方で、次数の低い項から高い項へと並べる手法は「昇べき(しょうべき)の順」と呼ばれます。昇べきの順は大学以降のテイラー展開やマクローリン展開、あるいは特定の母関数を扱う解析分野では重宝されますが、高校数学Iの「数と式」における因数分解では降べきの順が圧倒的なスタンダードです。
多項式を降べきの順で記述する最大のメリットは、式の「骨格(最高次数)」と「定数項」が一目で把握できるようになり、因数分解の公式やたすき掛けの型をそのまま適用しやすくなる点にあります。式が無秩序に散らばった状態のまま因数分解を試みるのは、設計図なしに建物を建てるようなもの。まずは特定の文字を主役に据え、降べきの順に整列させる習慣がすべての土台となります。