一関地方には、伊達藩の時代から伝わる独特の「もち食文化」が根付いている。正月や冠婚葬祭だけでなく、人生の節目や季節の行事ごとにもちを食べる習慣があり、その種類は30種類以上に及ぶという。あんこやきなこ、雑煮といった定番にとどまらず、エビやナットウ、ふすべ(鶏肉と唐辛子)など、驚くほど多彩な味付けが存在する。
一ノ関駅周辺や市内には、本格的な「もち膳」を提供する老舗や、モダンなカフェスタイルでもち料理を楽しめる隠れた名店が点在している。一口サイズの色とりどりのおもちが並ぶ小鉢膳は、見た目の美しさもさることながら、素材の旨味が引き立つ絶品ばかりだ。地元の人々が愛してやまない伝統の味覚は、食通の旅人をも唸らせている。