ニコニコ動画の歴史を振り返ると、数々の「伝説の削除動画」がネットミームを形成してきました。黎明期である2007年から2010年代初頭にかけては、テレビアニメのパロディMADや音MADが爆発的なブームを巻き起こし、それに伴う大規模な削除祭りが頻繁に発生していました。
特に有名アニメのオープニングを改変したMAD動画や、国民的バラエティ番組の切り抜きを素材にした音MADは、数百万再生を叩き出した絶頂期に権利者からの申し立てによって一斉消滅。動画が消されると、すぐさま別のユーザーが音程や映像をわずかに加工して再投稿し、再び運営に消されるという「いたちごっこ」が繰り広げられました。
中には、権利元が削除の基準を明確にしたことで公認・黙認のガイドラインが策定される契機となった作品や、削除されたこと自体がニュースとして取り上げられ、投稿者がプロのクリエイターとして商業デビューを果たすきっかけとなった異例のケースも存在します。動画が消えるというドラマ性そのものが、当時のクリエイターや視聴者の熱量を加速させる起爆剤となっていた側面は否定できません。