今回の劇場版で最大の議論を呼んでいるのが、伝説的なエピソードである島編(セイレーン編)の再解釈と、そこに付け加えられた映画オリジナルの展開だ。人魚の肉を食べたことで得られる「不老不死」というモチーフは、古典的な怪談や民話のオマージュでありながら、本作では極めて現代的な恐怖として提示される。
セイレーンの歌声が響く島で繰り広げられる惨劇。誰が被害者で、誰が加害者なのか。境界線は曖昧だ。復讐に囚われたセイレーンの哀しみと、生き残るために選択を迫られるちいかわたちの対立は、観客に重い倫理的踏み絵を迫る。永遠の生命と引き換えに失われるものは何か。考察班の分析は、この「対価の重量」に集中している。