かつて日本の高校野球で尊ばれた「全員が同じ金太郎飴のような選手を作る」指導法は、ここでは過去の遺物だ。現在の天理が掲げるのは、個々の突出した強みを最大限に伸ばす「個性の研磨」である。
長打力のある選手には徹底的に長打を磨かせ、守備に長けた選手にはその職人技を極めさせる。指導陣は型に嵌めるコーチングではなく、選手自らが考え、問いを立て、解決策を見つけ出すファシリテーター役に徹する。主体的なミーティングを通じて作戦を立案する文化が定着したことで、試合中の急な展開変化に対しても、選手同士で瞬時に修正を加えられる戦術的柔軟性が生まれた。