イタリア語における「tutto」の根底にあるコアイメージは「全体・すべて」です。欠けるところがない完全な状態や、対象の総体をまるごと指し示す際に用いられます。日本語では文脈に応じて「すべての」「全部」「全員」「すっかり」など多様な訳語があてられますが、文法上は主に以下の3つの役割に分類されます。
第1の役割は、名詞の代わりに単独で使われる「不定代名詞」です。「すべての人」「すべてのもの・こと」を意味し、会話の中で具体的な名詞を出さずに全体を指すことができます。例えば「È tutto pronto.(すべて準備完了です)」のように、単数形のtuttoは「すべての事柄」を包括的に表します。
第2の役割は、名詞を修飾して「すべての〜」という意味を付加する「不定形容詞」です。この用法では修飾する名詞の性(男性・女性)と数(単数・複数)に応じて語尾が変化します。
第3の役割は、動詞や形容詞を修飾して「すっかり」「完全に」という意味を添える「副詞」としての用法です。この3つの役割を意識して整理することが、イタリア語の表現力を高める強固な土台となります。