塩サバがパサついたり生臭く感じたりする最大の原因は、パック内に染み出した「ドリップ」と、皮表面の「酸化した魚油」にあります。塩サバは製造段階ですでに塩が振られていますが、流通や保存の過程で水分とともに臭み成分が表面へ浮き上がってきます。これを落とさずに加熱すると、臭みが身に再吸着してしまいます。
調理前に取り入れたいのが「酒洗い」による下処理です。バットに塩サバを置き、大さじ1〜2杯の清酒(料理酒でも可)を全体に回しかけ、手で優しくなじませて1〜2分置きます。アルコールが揮発する際に揮発性の臭み成分を抱き込んで蒸発する「共沸効果」が働き、さらに有機酸が魚特有のアルカリ性臭気を中和します。
その後、最も重要なのがキッチンペーパーによる徹底的な水分の拭き取りです。皮の表面だけでなく、ひだの間や身の裏側まで押さえるように拭き取ります。水分が残っていると加熱時に蒸気となって皮の温度上昇を妨げ、パリッとした食感の形成に必要なメイラード反応(140℃〜160℃)を阻害するためです。
塩分が強すぎる塩サバをマイルドに仕上げたい場合は、水200mlに対して酒大さじ1、みりん小さじ1を合わせた調味液に15分ほど浸す「みりん酒浸け」が有効です。浸透圧の作用で余分な塩分が抜けるとともに、みりんの糖類が身の保水力を高め、減塩しながらもパサつかない美味しい焼き方が完成します。